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その8

مؤلف: 白石マサル
last update تاريخ النشر: 2026-08-07 18:00:30

 無事に県大会を終え数日が経った。

 ある日、嫌がらせを無事解決したことをお兄ちゃんから聞いた。

 本人は「中居たちのおかげだよ」と謙遜していたけど、それもお兄ちゃんの力だと思う。

 直近の憂いも晴らし、意気揚々と部活に行くとご機嫌な新島先輩がいた。

「新島先輩何かいい事あったんですか?」

「友也君にキスされちゃった!」

 ちょっと胸がチクッと痛む。なぜだろう。

 ていうか付き合ってるんだからキスくらい当然だよね。

「まだしてなかったんですか? 確かに県大会も重なって忙しかったですけど、流石に遅すぎですよ」

「そういうわけじゃないんだけど……昨日はすごかったの」

え? それってもしかして……。

 いろいろ想像していると

「もしかして妬いてるの~?」

 と先輩に突っ込まれる。

「そ、そんなわけないじゃないですか! 揶揄わないでくださいよ!」

「アハハ、ごめんね」

「も~……それで、昨日何があったんですか?」

 と聞くと同時に部活が始まった。

「あ、もう行かないと。詳しい事は後で話すね」

「はい、わかりました」

 練習を終え、インターハイ予選を兼ねる地区大会に向けての選抜メンバーが発表された。

 私は引き続き新島先輩とダブルスを組むことになっている。

「これからもよろしくね、柚希ちゃん」

「よろしくお願いします。それで、さっきの話なんですけど」

「そうね。とりあえず場所を変えましょうか」

 帰り支度をし、私たちは駅前のスタバへ向かった。

 席につき一息ついた後、新島先輩が昨日の事を話してくれた。

 皆の前で堂々とキスだなんて、やるじゃん!

「すごい! 交際も順調なんですね」

「うん、そうなんだけどね……」

「何か心配事でもあるんですか?」

 さっきまでのテンションとは裏腹に浮かない顔をしている。 

「最近、南が元気ないみたいなの。やっぱり私たちの事が原因なのかな」

「あぁ、そういえば水瀬先輩ってお兄ちゃんの事好きでしたもんね」

「だから私、南にはやっぱり悪い事したかなって感じてるんだよね」

 独占欲が強い頃の先輩からは考えられないようなセリフが飛び出した。

 良くも悪くもお兄ちゃんは新島先輩を変えてしまった。

「でもそれとこれとは関係ないじゃないですか。恋愛は早い者勝ちです! 真剣勝負なんです!」

 私がそう言えば新島先輩なら納得してくれる。

 そう思っていた。

 だけど目の前の先輩はまだ浮かない顔をしている。

 失望感にも近い憤りを感じた私は、それを視線に乗せる。

 しかしそれに気づくことなく先輩は

「それよりも今は部活に集中しないと! まずは地区大会ベスト4入りね」 

 と、無理やり話題を変えた。

 ――――こんなの、新島楓じゃない。

「……そうですね。お互い頑張りましょう!」

 その後、私たちは他愛もない話をして別れた。

 家に帰ると当然私はお兄ちゃんに尋問する。

「新島先輩とキスしたんだって~? しかもみんなに見せつけるように堂々とさ~」

「ど、どうしてそれを!?」

「いや~。今日、新島先輩が機嫌よかったから問いただしてみたら話してくれたよ~。やるじゃんお兄ちゃん」

「くそ~楓のやつ余計な事を」

 その後、私に散々弄り倒されたお兄ちゃんはゲッソリとして部屋から出て行った。

 夕食の時に私がニヤニヤしながら視線を送るとお兄ちゃんはそっぽを向く。

 それが面白くて何度も繰り返す。

 それに気づいたお父さんが話しかけてくる。

「何だ柚希、さっきからニヤニヤして」

「なんでもな~い」

「そうか」

「うん……そういえばさ、お父さんたちのファーストキスってどんな感じだったの?」

 お父さんとお兄ちゃんが同時に噴き出す。

「な、何だいきなり! ハッもしかして柚希、お前彼氏が……」

「え~そうなの? 柚希おめでとう」

「そんなのいるわけないじゃん。ただ、友達がそういう話をしてきたからさ~」

 と言ってお兄ちゃんの方をチラッと見る。すると

「ごちそうさま!」

 と逃げるように2階へ上がっていった。

 

 湯船につかりさっきの事を思い出す。

 お兄ちゃんの反応は凄まじかった。

 それほど新島先輩に本気なのだろう。

「本気なんだ……妬けちゃうなぁ」

 ――――妬けちゃう? 何で私が?

 意味わかんない。

 きっとのぼせたんだろう。

 ぼーっとしたまま湯船から上がり浴室から出ると、丁度洗面所の扉が開いた。

「「え?」」

 お兄ちゃんと目が合い、何が起きたのか理解できないまま数秒がすぎた。

 するとお兄ちゃんは顔を真っ赤にし

「ご、ごめん! わざとじゃないんだ!」

 そう言って勢いよく扉を閉めて出ていった。

 部屋に戻り暫くすると呆けた頭が鮮明になっていく。

 それと同時にお風呂で火照った身体がさらに熱くなっていった。

 お兄ちゃんに見られた。

 思い返すだけで恥ずかしくなる。

 心臓がドキドキする。

 とりあえずお茶を飲んで気を紛らわそう。

 そう思いキッチンに行くと再びお兄ちゃんと鉢合わせた。

「「あ」」

 洗面所の事が頭をよぎり、顔が一気に熱くなる。

 何か言わないと、とまごついていると

「柚希、さっきはごめん!」

 と勢いよく頭を下げて謝られた。

「……見た?」

「な、なにが?」

「見たかって聞いてるの!」

「見てない見てない!」

「ならいいんだけど。っていうか兄妹だし別に気にしないし!」

「でもお前、今気にしてたよな?」

「は? してないし! もういい! おやすみ!」

 と強がって話を切り上げ部屋に戻った。 

「なんでだろう、胸のドキドキが止まらない」

 ベッドに潜り込んで考える。

 確かにお兄ちゃんの事は好きだけど、それは兄妹としてだ。

 でも幼稚園の頃の私は……。

 そんな事を考えていたら、いつの間にか眠りについていた。

 それからの私は一心不乱に練習に打ち込んだ。

 だけど私の中にあるモヤモヤが消える事は無かった。

 そして終末、選抜メンバーだけの練習を終え、帰ろうとした時

「楓~、一緒に帰ろう」

 と手をブンブン振りながら、一人の女子がやってきた。

「あ! 南~。こっちも丁度終わったところだよ」

「さっすがわたし! ナイスタイミングだね!」

 水瀬南先輩――陸上部所属で新島先輩と同じ2年のトップカーストの一人だ。

 お兄ちゃんから聞いていた通り、すごく明るい人だ。

「あの、はじめまして、佐藤柚希といいます」

「柚希ちゃんは友也くんの妹さんなんだよ」

「え~っ! あなたが佐藤の妹なの~!? すっごい可愛い~! そしたらさ、柚希ちゃんも一緒に来ない? これから買い物に行くんだ♪」

 突然の提案に少し驚いたが、これは良い機会かもしれない。

 これまでは水瀬先輩に関する事は新島先輩頼みな事が多かった。

 でもこれからは私が直接繋がればもっと動きやすくなる。

 それに、この間の新島先輩の話も気になるし。

「え? 良いんですか?」

「あったぼうよ! 佐藤の面白い話とか聞かせてよ」

「あはは、良いですよ。それではご一緒させていただきます」

 こうして3人でショッピングモールに行く事になった。

 ショッピングモールに着くなり水瀬先輩が「まずは腹ごしらえだー!」と言い出したので昼食を摂る事になった。

 食事をしながらお兄ちゃんのエピソード等を話し、盛り上がった。

 昼食を済ませた私達は、モール内を散策する。

 新島先輩は「南が元気ない」と言っていたが、じゃれ合いながら歩く二人を見ると、とてもそうは思えない。

 新島先輩の目当ての店に入り、服を選んでいる。

「あ、楓この服に合うんじゃない?」

「え~そうかなぁ?」

「そうだよ! これなら佐藤も惚れ直すよ!」

「う~ん……じゃあ買っちゃおうかな」

 水瀬先輩の推しもあり、買う服を選んだ新島先輩はレジに向かう。

 その後ろ姿を水瀬先輩は悲しげな表情で見ていた。

 やっぱり……まだお兄ちゃんの事が好きなんだ。

 ショッピングが終わり、今は水瀬先輩と二人で歩いている。

「水瀬先輩が同じ最寄駅だったなんて驚きました」

「そういや佐藤もそんな事言ってたな~。やっぱり兄妹だね~」

 兄妹と聞いてお風呂での一件を思い出すが、すぐに振り払う。

 そんな事よりも、今は水瀬先輩にかなきゃいけない事がある。

「お兄ちゃんといえば新島先輩と上手くやってるみたいですね」

「っ……そうだね」

 やっぱり二人の話題になると、少し言葉に詰まった。

 それでも私は水瀬先輩の気持ちを確かめる必要があった。

 だからこ執拗に先輩の心に踏み込んで行く。

「水瀬先輩はこのままで良いんですか?」

「なにが?」

「お兄ちゃんの事好きですよね?」

「……そうだね、好きだったよ」

「今も好きなんじゃないですか?」

 と私が言うと水瀬先輩は立ち止まる。

 私も立ち止まり振り返る。

「どうしてそう思うの?」

「さっき新島先輩の事を寂しそうな目で見てたので」

「……そっか、分かっちゃったかぁ」

「新島先輩も気づいてますよ。この間相談されました」

「やっぱり楓は凄いや」

「それと……『南には悪いことした』とも言ってました」

「そんなに気を使わせちゃったかぁ……。でも、私は楓の恋を応援するつもりだよ」

 なんで? 自分の気持ちを捨ててしまうの?

 私には……分からない。

 そう思った時、抑えられない感情が込み上げてくる。

「本当にそれでいいんですか? お兄ちゃんの事好きなんですよね? 諦められるんですか?」

 そう問いかける私の言葉が、自分の胸に一番刺さった気がした。

「だったら私はどうすればいいの!?」

 そう叫ぶ瞳には涙が滲んでいた。

「諦めようと思った!? だけど諦めきれないの! 私はどうしたらいいの? ねぇ、答えてよ……」

 私が言葉に詰まっていると

「ごめんね急に大声だして。今日の私なんだか変だな」

 そう言って水瀬先輩は涙を拭い、そして悲しげに笑った。

 そんな姿を見て胸が苦しくなる。

「なんか、八つ当たりみたいな事言ってごめんね」

「いえ、その……私の方こそすみませんでした」

「柚希ちゃんが謝る事じゃないよ。それじゃあ私コッチだから。またねバイバイ」

 と言って走り去ってしまった。

 私は何も出来ず、去っていく後ろ姿をただずっと眺めていた。

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أحدث فصل

  • 妹プロ ifストーリー柚希END   最終話

     お兄ちゃんが私のことをずっと好きだった……? にわかには信じられない言葉を聞いて混乱する。「だから柚希のことを気持ち悪いだなんて思わないし、俺のことが好きだと言ってくれて嬉しい」 真っ直ぐ、視線を外さずに言葉を浴びせてくる。 私のことを好きだと言ってくれて凄く嬉しい!  だけど、それをどこまで信じていいか疑っている自分もいる。 そんな自分が嫌だとわかりつつも、私の口は勝手に動いていた。「新島先輩は? お兄ちゃんの初恋は新島先輩だったって言ってたよね」 そう問いかけると、お兄ちゃんは困った様に頭を掻きながら答える。「確かに楓は俺の初恋の女の子だ。でもそれは柚希以外での事なんだ」「私以外で?」 首を傾げる私にお兄ちゃんは説明を始めた。「ああ。さっきも言った通り、小さい頃から柚希の事を一人の女の子として好きだった。だけどそれは歳を重ねていく内に許されない恋なんだと知った。だから柚希以外の子を好きになろうと思った。けど、その時の俺は周りから孤立していたし、どこかで無理かもなって思いもあった」 孤立してしまった原因を作ってしまったのは私の所為だし、あの一件で余計にお兄ちゃんの事が好きになったんだっけ。「そんな時、一人の女の子が俺に話しかけてくれた。周りからボッチだのヲタクだの言われてる俺に対して優しく接してくれた。その当時の俺は自ら人を避けていたけど、その女の子と話している間の空間は凄く居心地がよかったんだ。そういう事も重なって俺は始めて柚希以外の女の子を好きになった」 そう語ってくれたお兄ちゃんに対して、私は更に意地悪な質問をする。「水瀬先輩の好意や、友華さんと沙月ちゃんに対してはどうなの?」「こんな俺に好意を寄せてくれるのは凄く嬉しかったし、俺自身みんなに惹かれていってた」 そして深く息を吐き、申し訳無さそうな顔をする。「だから皆とは付き合えないと伝える決意をするのに時間が掛かっちゃって申し訳ないと思ってる」 そう

  • 妹プロ ifストーリー柚希END   その50

     私は今何て言った? 部屋の前で盗み聞きをして、沙月ちゃんとお兄ちゃんがそういう会話が聞こえてきて……無意識に部屋に飛び込んだ。 その後に沙月ちゃんと口論になって……それから――――『お兄ちゃんの事が好きなんだから!!』 そうだ……お兄ちゃんを盗られたくない一心で――――「柚希……今のって」 お兄ちゃんは状況が理解出来ないといった感じで見つめている。 それもそうだ。突然妹からあんな事言われたら混乱するに決まってる。「やったね柚希ちゃん。やっと言えたじゃん!」 沙月ちゃんが嗜虐的な笑みを浮かべながら私の肩をポンッと叩く。  ハメられた! きっと私が部屋の外で話を聞いてると踏んで沙月ちゃんは最初からこうなる様にお兄ちゃんに色仕掛けしてたんだ! 「っ!」「柚希ちゃん!」「ちょ、待てよ!」 どうしよう! どうしよう! どうしよう! どうしよう! 言うつもりは無かったのに! 妹として傍にいようって決めてたのに! 幾ら沙月ちゃんに煽られたからってあんな事言っちゃうなんて!「はぁ、はぁ……ここは?」 お兄ちゃんから逃げる事しか考えて無かったから、いつの間にか公園に辿り着いちゃった。 でも、ここまで来れば流石に見つかんないよね……。「はぁ……これからどうしよう」 ベンチに腰を下ろすと、つい言葉が漏れてしまった。「ビックリしてたなぁ……」 そりゃそうだよね。実の妹が異性として兄を好きだなんて思ってもみないだろうし。 はぁ……流石に嫌われちゃったよね……。「柚希! ハァハァ&h

  • 妹プロ ifストーリー柚希END   その49

     『自分の気持に素直になってみたら?』 翌日になっても新島先輩の言葉が頭から離れない。 素直になっても報われないなら……もしかしたら気持ち悪い妹だと思われたらと考えてしまう。「ダメだなぁ……ネガティブな事しか浮かんでこない」 そう独りごちて、思考を振り払う様に頭を振る。それから大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせてお兄ちゃんの部屋のドアをノックして中に入った。「どう? お兄ちゃん。少しは良くなった?」「ああ、熱も下がって倦怠感も無くなったよ」 そう言って腕をぐるぐる回す。 「良かった。でもあまり調子に乗らないように! 今日一日は安静にしててね」「大丈夫だって」「ダメでーす。風邪はひき始めと治りかけが一番重要なんだから」「母さんみたいな事言うな」「はいはい、なんとでも言いなさい。とにかく安静にしてるんだよ」「はぁ、分かったよ」  諦めたようにベッドに横になるお兄ちゃんを見届けて部屋を出た。 少し体調が良くなったからって直ぐ調子に乗るんだから。 でも、良くなってよかった。  リビングでテレビを見ながら勉強しているとインターホンが鳴った。 まさかまた新島先輩が来たのかな? と頭の隅で考えつつモニターを確認すると、今度は沙月ちゃんが立っていた。 玄関を開けると沙月ちゃんは元気良く挨拶してくる。「柚希ちゃんやっほ~」「やっほー。もしかしてお兄ちゃんのお見舞い?」「うん。急だったけど大丈夫かな?」「大丈夫だよ。体調も良くなってきてるし」「よかった~」 家に招き入れお兄ちゃんの部屋まで案内する間、疑問に思った事を聞いてみる。「そういえば、どうしてお兄ちゃんが体調崩したって知ったの? 心配掛けない様に黙ってたのに」「昨日南さんから聞いたんだ~。南さんは楓さんから聞いたって言ってた」「そうだ

  • 妹プロ ifストーリー柚希END   その48

     水瀬先輩の想いを聞いてから数週間が経った。 当初懸念していた接し方や態度も以前と変わらず、普段どおり接してきてくれるとお兄ちゃんから聞いた。 それに一番驚いたのは水瀬先輩が合コンにハマった事だ。 沙月ちゃんに無理矢理連れて行かれた合コンで、チヤホヤされたのが嬉しかったらしい。 合コンの度に「やっぱりトモより良い男いないや」とボヤいていたので、今でもお兄ちゃんの事は好きなんだと思う。 だけど水瀬先輩はお兄ちゃんにはそんな素振りを一切見せていないらしい。 多分それはお兄ちゃんが好きで、幸せを願っているからこそなんだと思う。 沙月ちゃんのお陰で水瀬先輩は気持ちの整理が出来たのは嬉しい反面、合コンにハマってしまっている事に関してはお兄ちゃんも心配していた。「沙月には感謝だけど、他にやりようはなかったのかなぁ」 とお兄ちゃんがボヤいていた。 まぁ自分の事を好きで居てくれた女の子がいきなり合コンにハマりだしたのだから複雑な気持ちなのだろう。 お兄ちゃんだけでなくグループの人達全員が水瀬先輩の変わりように戸惑っていたみたいだ。 それも最初の内だけで、今では水瀬先輩=合コンというキャラが定着しつつあるらしい。 実際私も何度か誘われたが丁重に断った。 そんな出来事がありながら中間試験も終了し試験休みに入ったのだが、休みに入った途端、お兄ちゃんが熱を出して倒れた。 そして今は看病の真っ最中だ。「もう、お兄ちゃんは無理し過ぎだよ」「ゴホッゴホッ! すまん……」 どうしてこうなったかというと、文化祭のライブが切っ掛けだった。 振替休日が終わり学校へ行くと、1年から3年まで分け隔てなく女子から猛アプローチを受けていた。 授業が終わり帰宅する時には、校門に他校の女子が出待ちまでしてたし。 アプローチされても軽く流せばいいのにお兄ちゃんは一人ひとり丁寧に対応し、睡眠時間をへらしてまでファン達の相手をしていた。 気持ちを無下にできないっていうお兄ちゃんらしい優しさではあったけ

  • 妹プロ ifストーリー柚希END   その47

     昨日は凄い一日だったなぁ。 お兄ちゃんが水瀬先輩を振るシーンを見ちゃったり、その後参加した打ち上げの後での新島先輩とお兄ちゃんのやり取りを聞いたり。  新島先輩がなんで私にまで話を聞かせたかは未だに分からないけど、問題は水瀬先輩なんだよなぁ。 もしこれで水瀬先輩がお兄ちゃんから離れていってしまったら絶対お兄ちゃんのグループの雰囲気は悪くなる。そうなると中居先輩が黙ってないだろうし……。「それに……お兄ちゃんの好きな子ってやっぱり――」 試験勉強をしていたがどうしてもその事が頭に浮かんでしまう。 残る候補は沙月ちゃんだけだからほぼ確定なんだろうけど……沙月ちゃんはお兄ちゃんのことどう思ってるんだろう。  私のことを応援すると言ってくれてたけど、私の事を理由に断って欲しくない。 例えお兄ちゃんが沙月ちゃんと付き合ったとしても、私はお兄ちゃんの妹だし、これまで通り傍に居られるだけでいい。 そんな事を考えているとスマホの通知音が鳴った。 スマホを手に取り確認する。「水瀬先輩からだ……」 アプリを開いてメッセージを確認する。〈大切な話があるから今から話せないかな?〉 大切な話ってなんだろう? それよりも気持ちの整理はついたのかな。 とりあえず返信しないと。 〈大丈夫ですよ〉 〈ありがと。沙月ちゃんにも話すから今グループ作るね〉  わざわざ3人だけのグループを作って話すことってなんだろう? そう考えている内にグループへの招待が来たので参加する。 沙月ちゃんも参加して全員揃ったところで通話が掛かってきた。「もしもし、こんにちは」「南さんこんにちは~」「2人ともこんちはー。急にごめんね~」「いえいえ、大丈夫ですよ」「はい、丁度暇してたので問題ないです」 話し方や声のトーンはいつもと変わらない。

  • 妹プロ ifストーリー柚希END   その46

     新島先輩に続いて水瀬先輩までフラれた。 そうなるとお兄ちゃんの好きな女性は必然的に沙月ちゃんって事になる。 沙月ちゃんには今まで色々相談に乗って貰ったり、私の唯一の理解者でもあった。 だからこそ私が沙月ちゃんを祝福してあげないと。「待たせて悪いな」「ひゃっ!」 考え事をしていたらいつの間にかお兄ちゃんが校門にやってきていた。 ビックリして変な声出ちゃったけど不審に思われないよね?「なんだよその反応は。ちょっと傷ついたぞ?」「ご、ごめん。ちょっと考え事してたからお兄ちゃんに気づかなくて」「まぁ遅くなった俺が文句言えないか。んじゃ行くか」「……う、うん」 水瀬先輩はどうしたの? という言葉を飲み込んだ。 私があの現場を見ていたと知ったら色々気まずいだろうし、何より水瀬先輩の事を思うと私が見てたという事実は無かった事にした方がいい。「文化祭は楽しかったか?」「楽しかったよ。特にお兄ちゃんのライブは興奮したなぁ~」「その話はやめてくれ。皆褒め過ぎなんだよなぁ」「とか言ってお客さんを凄い煽ってたりしてたじゃん」「あ、あれはああやれって言われたから仕方なくだよ」「それにちゃっかりクラスの宣伝までしちゃって~」「うぅ、あれは……もうなんとでも言え!」「あはは、ごめんごめん」 お兄ちゃんを揶揄っていると打ち上げ会場に着いた。 入店すると沙月ちゃんが出迎えてくれた。「柚希ちゃんいらっしゃ~い」「おじゃましま~す」 沙月ちゃんと軽いハイタッチをしながら挨拶を交わす。「あ、友也さん遅いじゃないですか~」「掃除当番だったから皆には先に行ってて貰ったんだ」「そうだったんですね。じゃあ早く着替えてきてください、忙しいんですから」「ああ、わか……って今日は客で来てんだよ」「え? 手伝ってくれ

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